フリフリ編

第五話

次の日曜日。
俺は一人で興宮に来ていた。

あれ以来、詩音もレナも、沙都子や梨花ちゃんまで、ことあるごとにからかってくるし、 魅音は顔を合わせるたびに赤くなるわでやりにくいことこの上ない。

今日は久しぶりに一人でのんびりするか。詩音にさえ会わなければ・・・。

「あれ〜。圭ちゃん?」
聞き覚えのある声に恐る恐る振り返ると、これまた見覚えのあるフリフリドレスの魅音。

ズシャアアアッ!

俺は思わず派手にひっくり返る。

「ぐ、偶然だねえ。あは、あははは!」
さりげない口調を装うつもりらしいが、完全に失敗している。

周囲に目を凝らすと、物陰から見え隠れする不審者二名。

(いや〜、圭ちゃん、相変わらずいいリアクションしてくれますね〜)
(魅ぃちゃん、頑張るんだよ!だよ!)


魅音はぎくしゃくした動作で歩み寄ると、上目遣いに俺を見・・・すぐ顔を伏せてしまった。

「あ、あのね。せっかく会ったんだし・・・今日はすっごく暇だから・・・一緒に・・・」
だんだん声が小さくなる。
やきもきした表情の不審者二名が謎の動作をする。サインでも送っているのか。

「一緒に・・・歩いてもいいかな・・・?」

やっと言い終えた魅音は既に真っ赤になっていた。
俺は溜息をついた。「一人でのんびりする」のはもう無理だな、こりゃ。
まあ、嫌なわけじゃないけど・・・な。

「そうだな。じゃ、とりあえず、覗きのいない所に行くか」
俺は魅音の手を取って駆け出す。
「え!?圭ちゃん!?」

戸惑いながらもついてくる魅音。
慌てる不審者。

(あれれれ!?圭一くん、どこ行くのかな!?かな!?)
(ふっ・・・!この私を撒こうったってそうはいきませんよ!!)


夏のような日差しの下を舞う四つの影。

今日も退屈しない一日になりそうだ・・・。



終わり